科目別の勉強法

「本を読まない」からと諦めない。語彙力を戦略的に積み上げて国語を得点源にする方法

塾で教わった「解き方」が、なぜかテストで使えない理由

塾の授業で「指示語はここを見る」「逆接のあとは大事」といった読解のテクニックをしっかり教わっているはずなのに、テストになるとなぜか点数に結びつかない。
そんな状況に、焦りを感じているお母様も多いのではないでしょうか。

「解き方はわかっているみたいだし、問題文にも線は引いてある。それなのに、記述は書けないし、選択肢も間違えてしまう……」

このもどかしい状況の正体は、実はお子さんの読解スキルの不足ではありません。
その土台となる「語彙力(ごいりょく)」が足りないために、せっかく習ったルールがうまく発動できていない、いわば「空振り」の状態にあるのです。

中学受験の国語において、語彙力は単なる「言葉の知識」ではありません。
文章を正しく読み解き、ルールを使いこなすための「基礎体力」のようなものです。
今回は、読解ルールをしっかり得点につなげるための、戦略的な語彙力の増やし方についてお話しします。

テクニックが「空振り」してしまう、ちゃんとした理由

国語の成績が伸び悩むと、つい「もっと高度な読解テクニックを身につけさせなきゃ」と考えがちです。
ですが、実はその一歩手前、文章そのものが「なんとなく」しか読めていないことに原因があるケースがほとんどです。

なぜ語彙力が足りないと、読解ルールが使えないのか。
それには、2つの理由があります。

理由①「頭の余裕」がなくなってしまう

一つ目は、「頭の余裕」がなくなってしまうからです。
文章の中に知らない言葉や、意味が曖昧な言葉がいくつも出てくると、脳はその意味を推測するだけで精一杯になってしまいます。
その結果、本来使うべき「文章の構造をつかむ」「論理的なつながりを追う」といったルールを思い出すだけのエネルギーが、残らなくなってしまうのです。

理由②「ピントがずれてしまう」

二つ目は、「ピントがずれてしまう」からです。
たとえば、原因と結果を見つける「因果関係」のルールを使おうとしても、言葉の意味がぼんやりしていると、何が原因で何が結果なのかを正しく判定できません。
これでは、どんなにルールを当てはめようとしても、答えのピントがずれてしまうのは仕方のないことといえます。

中学受験で出てくる言葉は、ふだんの生活ではまず使わない「難しい抽象的な言葉」や「大人の感情を表す言葉」ばかりです。
これらを「そのうち覚えるだろう」と待つのではなく、意識的に補ってあげること。
それが、塾で習うテクニックを「得点」に変えるための一番の近道になります。

語彙力は「読書」に頼らず、「仕組み」で増やしていい

「うちの子は本を読まないから、語彙が足りない」という不安の声はよく耳にします。
でも、安心してください。
中学受験に必要な語彙力は、無理に読書習慣を作らなくても、ドリルや参考書を使った「仕組み」で十分に補うことができます。

もちろん読書は素晴らしいものですが、入試までの限られた時間で、満遍なく言葉を習得するには少し時間が足りません。

本を読むだけだと、どうしても自分の好きなジャンルに内容が偏ってしまいますし、物語文は読めても、説明文に出てくるような硬い言葉にはなかなか出会えないからです。
また、文脈から意味を推測する力も大切ですが、ときには間違った意味で覚えてしまうこともあります。

一方で、ドリル形式の学習であれば、入試によく出る言葉を、正しい意味とセットで効率よく学べます。

語彙を増やすことは、センスではなく「積み重ねの作業」です。
お子さんに合った教材を選んで、繰り返す仕組みさえ作ってあげれば、読書が苦手な子でも、必ず読解に必要なレベルまで引き上げることができます。

「やっても忘れてしまう」を乗り越えるための視点

語彙の学習を始めて、一番お母様を悩ませるのが「昨日やったのにもう忘れている」ということではないでしょうか。
ですが、ここで「うちの子、記憶力が……」と落ち込む必要はありません。

忘れるのは当たり前。
大切なのは「一回で覚えさせよう」とせず、いかに「何度もその言葉に出会うか」という仕組みを作ることです。

言葉を定着させるために、わが家でも意識していたポイントを整理します。

1. 「イメージ」と一緒にインプットする

単語と意味を丸暗記しようとしても、脳はなかなか受け入れてくれません。
その言葉が使われる場面を想像したり、似た言葉とセットで覚えたりと、知識のネットワークを広げることが有効です。
特にマンガ形式の教材は、状況が絵でわかるので、最初のハードルを下げるのにはぴったりです。

2. 「忘れること」を前提に繰り返す

「一冊終わったら次」ではなく、「同じ一冊を完璧にするまで繰り返す」のが鉄則です。
覚えていないところにチェックをつけたり付箋を貼ったりして、「わからない言葉」をはっきりさせ、そこだけを重点的に回す仕組みを作ると、効率よく身についていきます。

3. 「読解の中で覚えればいい」という考え方の落とし穴

「塾のテキストに出てくる言葉を、その都度覚えるだけで十分ではないか」という考え方もあります。
確かにそれも大切ですが、それだけだと知識がバラバラのままになってしまいます。
ドリルで前もって学んでおき、そのあとで塾のテキストの中にその言葉を見つける。
「あ、これドリルでやったやつだ!」という再会の瞬間こそが、一番記憶に深く刻まれます。

基礎がぐらついている状態で、難しい問題を解き続けるのは、お子さんにとっても苦しいものです。
まずはドリルで言葉の土台を固めてあげる。それが結果として、一番の近道になります。

わが家の体験:読書習慣ゼロからのスタート

ここで、わが家が実際にどう動いたか、少しだけお話しさせてください

娘が新4年生になる頃、実はかなりの危機感を持っていました 。
それまでの娘は、読書習慣がほぼゼロ 。
放課後はゲームやYouTubeが大好きで、テレビドラマすら見ないという、語彙を増やすきっかけが全くない生活を送っていたからです 。

「このまま入塾しても、先生の解説すら理解できないのでは……」と不安になり、女子最難関クラスを担当されている国語の先生に相談しました 。そこで言われたのが、非常に現実的なアドバイスでした。

「語彙は絶対に必要です。でも、今から本を読ませようとしても読書に興味がなければどうしようもありません。本を読まないなら、参考書を使って『受験に必要な言葉』を強制的に増やすしかありません」

この言葉で、私の迷いは消えました。
読書という「いつ身につくかわからない手段」を待つのではなく、ドリルを使って「確実に積み上げる」という仕組み作りを始めたのです 。

「付箋がなくなるまで」繰り返した、シンプルな仕組み

わが家で実践したのは、特別なことではありません。
ただ、徹底して「繰り返し」にこだわりました 。

  1. まず、まっさらな状態で問題を解く。
  2. 「すでに知っていた!」という言葉にはチェックを入れ、少しでも怪しい言葉にはチェックを入れず、ページ付箋を貼る 。
  3. 空白のままにはせず、言葉の意味を確認し、解き直しをしておく。
  4. 一冊終わったら最初に戻り、付箋のついたチェックの入っていない問題だけをやり直す 。
  5. 完璧に覚えたらチェックを入れ、そのページを全部覚えたら付箋を剥がす。

このサイクルを、4年生から6年生の夏休みまで、何冊もの本で繰り返しました 。
語彙はやってもやっても知らない言葉が出てきて、正直キリがありません 。
でも、この「付箋を剥がしていく」という目に見える成果が、娘にとって、少しずつ自信に繋がっていったように思います 。

最初は漫画で学べる簡単なものからスタートし、少しずつレベルを上げて中学受験に対応させていきました

読解力を支える「語彙のバトン」を渡すための選択肢

お子さんの状況に合わせて、わが家が実際に活用して良かったと感じている本をいくつかご紹介しますね。

まずは「言葉のハードル」を下げる(新4年生〜)

まずは、勉強という構えを解いて、言葉の世界を楽しむことから始めました

  • 『マンガでわかる! 10才までに覚えたい言葉1000』
  • 『マンガでわかる!中学入試に役立つ教養 ことわざ・四字熟語 222』
  • 『語彙大百科 』

漫画の力は絶大です。「勉強しなさい」と言わなくても、リビングに置いておくだけで勝手に読んでくれることも多く、導入にはぴったりでした 。
特に娘は『語彙大百科 』 が少女漫画風で読みやすかったみたいで繰り返し読んでました。

「入試で戦える語彙」へレベルアップ(4年生後半〜)

基礎ができたら、次は得点に直結するドリル形式へ移行しました

  • 『中学受験国語の必須語彙ドリル A(基礎レベル)』 まずはここを完璧にすることを目指しました。
  • 『中学受験国語の必須語彙ドリル B・C(標準・ハイレベル)』 5年生後半から6年生にかけて、より難しい抽象語に慣れるために使用しました。
  • 『中学入試 でる順過去問 ことわざ・語句・文法 合格への1204問』 入試直前期の総仕上げとして、知識の抜け漏れを確認するのに役立ちました。

まとめ:語彙力は、お子さんを裏切らない「確かな土台」

国語の成績は、算数などに比べると波があり、お母様としては不安になりやすい科目かもしれません。
ですが、語彙力だけは別です。
取り組んだ分だけ確実に積み上がり、一度定着してしまえば、大きく崩れることはありません 。

塾で教わる「読解ルール」が今、もし空振りしていても、それはお子さんに才能がないからではありません 。
ルールを支えるための土台が、まだ少し足りていないだけ。

語彙が増えれば、文章の中に「知っている言葉」という味方が増えます。
「これ、ドリルでやった言葉だ!」という小さな発見の積み重ねが、やがて難しい文章を読み解く大きな力に変わります 。

語彙の学習は地味で根気がいる作業ですが、その地道な一歩こそが、お子さんの読後感を「わからない」から「解ける!」へと変える最短ルートになります 。

まずは、お子さんが「これなら読めそう」と思う一冊から、親子で始めてみませんか?

オススメ参考書

-科目別の勉強法
-, ,