入試データ・対策

【2026中学受験】合格者数が定員を大きく超えるのはなぜ?

「数字のカラクリ」より大切にしたい、我が子の立ち位置判断法

2026年組の皆さん、本当にお疲れ様でした。そして、これから本番を迎える学年の皆さん、いよいよバトンが渡されましたね。

この時期になると、各塾から華々しい「合格実績」が発表されます。 HPに踊る「◯◯中 ◯◯名合格!」という数字を見て、「さすが大手、これなら安心」と思う一方で、ふと冷静になった時、こんな疑問を持ったことはありませんか?

「あれ? 各塾の合格者数を足すと、学校の定員を大きく超えていない……?」

「もしかして水増し?」なんて不安になる声も耳にしますが、実はこれ、今のトップ層の中学受験では“あるある”であり、ある意味では仕方のないことなのです。

今日は、この数字の裏側にある「入試のリアル」と、その上で私たち親が「何を基準に我が子の立ち位置を判断すべきか」について、少しお話しします。

数字が合わないのは「地域を超えた総力戦」だから

結論から言うと、この数字のズレを「おかしい!」と批判してもあまり意味がありません。 なぜなら、最難関校の入試は、もはや一つの地域、一つの塾だけで完結するものではなくなっているからです。

例えば、関西と関東の塾が業務提携をして、お互いのノウハウやカリキュラムを共有し合う。 あるいは、関西の大手塾が東京や首都圏へ「進出」し、直接校舎を構えるケースも今や珍しくありません。

関東にいながら「関西流」のメソッドで鍛えられた精鋭たちが、1月の入試に合わせて新幹線でやってくる。当然、彼らの合格もその塾の実績としてカウントされます。

また、ご家庭の熱意も数字を押し上げます。 メインの塾とは別に、志望校別特訓クラスは別の塾、苦手な国語は専門塾へ、算数は個別指導へ……と、複数のプロの手を借りて合格を勝ち取るケースも多々あります。

わが家もそうでしたし、お友達の中には「国語はこの塾、算数はあっちの塾」と使い分けている方もいました。 それぞれの塾に恩義を感じて、両方に「合格実績」として報告することはよくある話です。

つまり、合格者数の多さは「水増し」というよりも、「地域や塾の垣根を超え、総力戦で挑んだ結果」と言えるのかもしれません。

灘中入試に見る「関東勢」という黒船

特に、関西の最難関である「灘中」などの場合、もう一つ大きな要素があります。 それは、「関東の最優秀層」の存在です。

関東の入試本番は2月ですが、関西は1月。 そのため、開成や筑駒を目指す関東のトップ層が、「1月入試の最高峰」として、本気で関西へ遠征してきます。彼らにとっても、ここは遊びではなく、自らの実力を証明するための真剣勝負の場です。

実際、2026年度の灘中学校の入試データを見ると 東京都からの志願者は122名、合格者はなんと59名。 これは、地元の大阪府や兵庫県の合格者数とほぼ変わらない数字です。

彼らは凄まじい学力を持っていますが、本命は関東にあるため、合格しても入学辞退するケースが大半だと推測されます。 合格者数が募集定員より大幅に多くなるのは、この「入学しないけれど、真剣勝負で合格枠を勝ち取る層」が一定数いるからでもあります。

「じゃあ、実際の入学枠はもっと広いのね」と安心しましたか? いいえ、実は逆です。

当日、お子さんが試験会場で隣に座るのは、この「関東の怪物たち」かもしれないということです。 入学しないとはいえ、合格ラインの基準を作るのは、彼らも含めた受験生全員のシビアな得点争いです。

数字のズレ云々よりも、「このハイレベルな集団の中で、合格最低点をもぎ取らなければならない」という厳しい現実の方を、直視しなければなりません。

「全体の合格者数」よりも大切なのは「校舎の実績」

では、そんな厳しい戦いの中で、親は何を頼りにすればいいのでしょうか。 塾全体の「合格者数」という大きな数字は、塾のデータの信頼性を示すものではありますが、「我が子が受かるかどうか」の物差しにはなりません。

見るべきは、もっとミクロな数字。 「所属している校舎・クラスの中での立ち位置」です。

ただ、厄介なことに、この「校舎ごとの合格実績」や「クラスごとの合格率」は、ネットやチラシには載っていません。 だからこそ、保護者が自ら動く必要があります。

入試分析会や個人面談のタイミングで、先生にこう聞いてみてください。
「昨年のこのクラスから、実際に何人合格しましたか?」

これが唯一、信頼できる「生きたデータ」です。 もし、そのクラスからの合格者が過去ゼロなら、どんなにクラス内で1位を取っていても、合格は厳しいという現実が見えてきます。逆に、クラスの半分が受かっているなら、真ん中あたりにいればチャンスはある。

この「現場のリアルな数字」を把握することが、合格への第一歩です。

転塾できない時期の親へ。「上位1/3の法則」

すでに新6年生で「今さら転塾はできない」という場合や、クラスの実績を聞くのが怖いという場合。 私がいつも意識していた、ひとつの目安があります。

それが「上位1/3の法則」です。

もし、志望校の実質倍率が「3倍」だとしましょう。 単純計算ですが、これは「3人に1人しか受からない」ことを意味します。

これを塾のクラスに置き換えてみてください。 隣の席の子、後ろの席の子、そして我が子。この3人の中で、合格切符を手にできるのはたった1人です。

  • 志望校別コースで、上位1/3に入れていますか?
  • クラスが複数ある場合、一番上のクラスに在籍していますか?

残酷なようですが、下のクラスの「上位1/3」と、上のクラスの「上位1/3」では、合格率は天と地ほど違います。 さらに言えば、普段の教室にはいない「Web受講生」や、「日曜特訓だけ来る他塾生」といった見えないライバルも、その「1/3」の枠を虎視眈々と狙っています。

まとめ|隣の席の子は「敵」ではなく「ペースメーカー」

大手塾が発表する何百人という合格実績。 その数字を見ると、なんだか「大きな船に乗っている」ような安心感を覚えるかもしれません。

でも、入試当日に答案用紙に向かうのは、お子さん一人です。

そこで大切にしたいのが、隣の席の子の存在です。 彼らは蹴落とし合う「敵」ではありません。関東勢も入り乱れるこの総力戦を、一緒に駆け抜ける「最強のペースメーカー」です。

もし、隣の席の子が自分よりできていたら、焦るのではなく「あ、このスピードで走らないと〇〇中学には届かないんだ」と、基準を教えてくれているのですから。

「隣の子についていけば、一緒にゴールできる」

そう思える位置(上位1/3)をキープすること。 数字のマジックに惑わされず、まずは次の面談で「今のクラスの立ち位置」を確認し、隣の子と切磋琢磨できる環境を整えてあげてくださいね。

(…ちょっと聞きにくいですけどね!笑)

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