親のサポート・生活

合格発表当日、合格・不合格が分かった時に声かけ

合格発表当日、親が用意しておくべき「言葉」と「心の置き場」

中学受験という長いトンネルの出口が見える合格発表の日。
親にとってこれほどまでに心臓が止まるような思いをする日は、人生でもそう多くありません。
結論からお伝えすると、合格発表の瞬間に親が果たすべき役割は、結果がどうあれ「この受験という挑戦が、わが子にとってどんな価値のあるものだったのか」を、親子で納得できる言葉にしてあげることにあります。

多くの家庭で、親は知らず知らずのうちに「自分の受験」として合否結果を捉えてしまい、冷静さを欠いてしまいます。
しかし、ここでの親の第一声や態度は、お子様がこれから進む6年間の自己肯定感に直結します。
感情に流されるのは避けられませんが、だからこそ、あらかじめ「論理的な解釈」と「言葉」を用意しておく必要があると思います。

模試とは全く別物。実力者同士が「1/3の椅子」を奪い合う過酷な現実

まず親が認識しておくべき事実は、入試本番は塾の公開テストとは構造が根本的に異なるということです。
公開テストは幅広い偏差値帯の子どもたちが受けますが、入試本番、特に第一志望の試験会場に集まるのは、同じような学力、同じような志望度を持ったライバルたちだけです。

例えば、倍率が3倍だとしましょう。
その場にいるのは、誰もがその学校を目指してコツコツと努力を積み重ねてきた「同学力」の集団です。
倍率が3倍ならその中で合格を掴み取れるのはわずか3分の1。
残りの3分の2は、実力がありながらも涙を呑むことになります。
さらに併願校ともなれば、上位校を第一志望とする層が滑り止めとして受けてくるため、実力差以上に厳しい「枠の奪い合い」が発生します。

この厳しい戦いのなかで合否を分けるのは、もちろん「積み上げてきた学力」です。しかし、合格ライン上では本当に1点の差が明暗を分ける世界です

その最後のわずかな差を左右するのは、問題との相性や体調、当日の緊張感、そして「運」といった、実力だけでは割り切れない要素が、合格の境界線上で非常に大きな比重を占めることになります 。

第一志望に合格した時、あえて「運」についても語るべき理由

もし、第一志望の合格を勝ち取ることができたなら、それは最大級の祝福に値します。
私自身、娘の第一志望合格を画面で確認した瞬間は、つい叫んでしまい、娘から「うるさい」と引かれるほどでした。
親がこれほどまでに喜んでしまうのは、それだけ必死に伴走してきた証であり、否定する必要はありません。

しかし、落ち着いた後に伝えたのは、以下のような言葉でした。

おめでとう。
第一志望に合格できたのは、これまでのあなたの努力のおかげ。
そして、最後に運が味方してくれたね

なぜ「努力」だけでなく「運」という言葉を添えたのか。
それは、同じように、あるいはそれ以上に努力しても届かなかった友人が周囲に多くいることを知っているから。

合格を「100%自分の実力」とだけ定義してしまうと、子どもは無意識のうちに傲慢さを抱いたり、逆に次に失敗した時に「自分はもう実力がない」と極端に落ち込んだりするリスクがあります。
「努力が運を引き寄せた」と伝えることで、結果を謙虚に受け止めつつ、次のステージでも「運に頼らずとも勝てる地力」を磨こうとする向上心に繋がると考え、用意した言葉です。

不合格だった場合、親が用意しておくべき「納得感」のあるシナリオ

中学受験において、不合格は「努力の否定」ではありません。
しかし、子ども自身はそう受け止めてしまいがちです。
だからこそ、親はあらかじめ、不合格という事実に振り回されないための「解釈」を用意しておかなければなりません。

私が娘の受験時に、もし不合格だった時のために用意していた言葉はこうでした。

「残念だったね。きっとあと少しだったんだと思う。
今回は縁がなかっただけ。
あなたならどこに行っても楽しめるし、あなたと一緒にそう思える学校しか受けていない。
お母さんは〇〇校(併願校)でよかったって思っているよ」

この言葉には、3つの重要な「判断軸」が含まれています。

  1. 「縁」という言葉による切り分け:チャレンジできるだけの学力は到達していた。今回は能力不足ではなく、マッチングや運の問題であったことを示し、人格へのダメージを防ぐ。
  2. 子どもの適応力への信頼:「どこに行っても楽しめる」という肯定は、子どもにとって最大の安心材料になる。
  3. 親の満足度の提示:「お母さんはこちらでよかったと思っている」と断定することで、子どもが「親を悲しませた」という罪悪感から解放される。

親が「どの結果になっても正解である」という揺るぎない態度を見せることで、子どもは初めて、受験というプロジェクトを納得して終わらせることができます。

今日から準備すべき「心の防波堤」

合格発表は、親子にとって中学受験という物語の「結び」の作業です。
以下の準備をしておくことで、どのような結果であっても「やってよかった受験」にすることができます。

  1. 「合格=努力、不合格=運・縁」と定義しきる 合格した時は本人の努力を称えつつ運に感謝し、不合格の時は運や縁のせいにして本人の人格を守る。この「使い分け」こそが、親ができる最大のメンタルケアです。
  2. 併願校の魅力を再確認しておく 「どこに行っても楽しめる」という言葉に嘘がないよう、併願校のパンフレットを読み直し、その学校でしかできない体験を一つでも多く見つけておきましょう。
  3. 発表直後の事務タスクをリスト化する 入学金の振り込みや制服採寸日や集合日の確認など、合格でも不合格でも「次にやるべきこと」を紙に書き出しておきます。手を動かすことで、脳は感情の嵐から現実の行動へと切り替わります。

中学受験の合格発表は、親が試される場所でもあると思います。
あなたが用意した言葉が、お子様にとって「この数年間は意味があった」と思えるための最後の、そして最も重要なピースになります。

いよいよ迎えるその日の前に、どんな声かけをするのか是非考えてみてください。

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