
〜電車・車・防犯のリアル〜
2月からはいよいよ「新4年生」のカリキュラムがスタートします。
「さあ、勉強を頑張ろう!」と、テキストの整理やスケジュールの管理に意識が向きがちですが、実は多くのご家庭が見落としている「最大の落とし穴」があります。
それが、「通塾(移動)」のシミュレーションです。
週に2〜3回。
往復で考えれば、年間で200回以上の「移動」が発生します。
しかも、ランドセルよりはるかに重い塾バッグを背負い、学校で疲れた体を引きずって、夜のラッシュ時や暗い夜道を歩くのです。
この「移動の負担」をいかに減らし、安全を確保するか。
これは単なる送迎の話ではなく、「受験生活を3年間継続できるか」に関わる重要な戦略です。
今回は、先輩ママたちの失敗談や実体験を交えながら、入塾前に必ず決めておくべき「通塾のルールと準備」について、徹底的に解説します。
目次
1.電車通塾のと必須準備
1. 「定期券」は本当に必要? ICカードの準備と練習
電車通塾が決まると「まずは定期券を買わなきゃ」と思いがちですが、ちょっと待ってください。
実は4年生の通塾回数(週2〜3回)だと、定期券よりも「その都度払い(ICカード利用)」の方が安く済むケースがほとんどです。
多くの鉄道会社では、月に15日〜20日以上往復しないと定期券の元が取れません。
まずは「運賃×通塾回数」を計算して、ICカードチャージでいくか検討してみてください。
その上で、お子さんに教えておくべきは「ICカードの管理と防犯」です。
①「小児用ICカード」を作る
大人用の無記名カードを渡していませんか?
小学生は「小児運賃(半額)」で乗車できますが、それには記名式の「小児用ICカード」が必要です。
購入には年齢確認ができる身分証明書(保険証など)が必要なので、窓口で手続きをしておきましょう。
改札を通ると「ピヨピヨ♪」と音が鳴るのが特徴です。
②チャージはどうする? 不安なら「オート」も正解
残高不足で改札が閉まるエラーは、子どもにとってとてもドキドキして、不安になる出来事です。
その不安を取り除くために、親のクレジットカードと紐付けて「オートチャージ」設定にするのは、とても安心で便利な選択です。
もしオートチャージにしない場合は、必ず「自分で券売機にお金を入れてチャージする」練習をしておくことをおすすめします。
「残高が500円を切ったらチャージする」といったルールを決めておけば、自分でお金の管理感覚を養う良い機会にもなります。
わが子の性格に合わせて選んであげてください。

【ちょっと待った!ICカードの落とし穴】
便利なICカードですが、お買い物もできてしまうのが怖いところ。
実は、塾の帰りにコンビニで「唐揚げ」や「お菓子」を毎回のように買い食いして、あっという間に残高が減って親にバレた……なんていう失敗談もよくあります(笑)。
「魔法のカードじゃないんだよ」「使うのは電車と、困った時の飲み物だけ」と、用途のルールもしっかり決めておきましょう。
③「名前隠し」が身を守る!持ち歩きの鉄則
改札をスムーズに通るために、カバンにつけたままびょーーーーんと伸びるリール付きのパスケースを使うのがおすすめです。
ただ、ここで一つ重要な注意点があります。
小児用ICカードには、券面に大きく「お子さんの名前」が印字されています。
電車の中で知らない人に名前を見られないよう、「カードは必ず裏返しに入れて名前を隠す」ことを徹底させてください。
ほんの些細なことですが、物理的に名前が見えないようにすることは、防犯上のとても大切なルールです。
④「もしも」のためのお金とスキル
ICカードを家に忘れたり、落としてしまったりすることもあります。
そんな時のために、塾バッグのポケットには必ず予備の現金(小銭入れに1000円程度)を入れておきましょう。
そして大事なのが、「切符を買う練習」です。
今の子供たちは、ICカードでのタッチしか知りません。
いざカードがない時に「券売機の使い方がわからなくて家に帰れない……」とならないよう、一度親子で切符を買って改札を通るリハーサルをしておくと安心です。
2.意外と知らない「駅のトイレ」事情
通塾ルートの確認で、私が最も強くおすすめしたいのが「駅のトイレチェック」です。
もちろん、防犯の面からは極力使わないことがベストですが、体調によっては利用せざるを得ない場合もあります。
そして、これが大人なら「まあ、ここでいいか」と思える場所でも、子どもにとっては大きなハードルになることがあるんです。
- 「和式トイレしかなくて使い方がわからない」
- 「照明が暗くて怖い」
- 「汚れていて入りたくない」
- 「知らない人が入ってきて、不安」
こういった理由で、子どもはトイレを限界まで我慢してしまいがちです。
我慢しながらの移動は、本当につらいものです。
親子でシミュレーションをする際は、必ず駅のトイレに入ってみてください。
「ここのトイレは綺麗だから使えるね」「もし混んでいたら、上の階のここを使おう」と、「安心して使える場所」を具体的に決めておくこと。
これだけで、子どもの心理的負担はずいぶんと軽くなります。
3.電車内のマナーと「重たいバッグ」
塾のテキストが入ったバッグ(塾バッグ)は、4年生の時点でもかなりの重量になります。
お弁当や水筒を含めると5kg〜8kgになることも珍しくありません。
これを背負ったまま満員電車に乗ると、周囲の迷惑になるだけでなく、子ども自身が押しつぶされて危険です。
ただ、ここで一つ大人とは違う事情があります。
それは、「子どもは網棚(上の棚)に手が届かない」ということ。
「混んでいたら棚に上げなさい」というアドバイスは、子どもには実行できません。
そのため、現実的なルールとして以下を教えてあげてください。
電車が混んでいる時は、
- バッグは体の前に抱える
- 床に置く場合は足元に挟む
こうした「立ち振る舞い」を教えるのも親の役目です。
また、重い荷物を持って立っているのは体力を消耗します。
少しでも楽に通えるよう、女の子なら「女性専用車両」の位置を確認したり、ホームの端など「比較的空いている車両」を一緒に探してあげるなど、体力温存の工夫もしてあげたいですね。
2. トラブル発生!その時どう動く?
電車は遅延や運休がつきものですし、子どもが乗り過ごしてしまうこともあります。
「何かあったらスマホで連絡すればいい」と思いがちですが、災害時や充電切れの時にはアナログな対応力が命綱になります。
1.「困った時に頼る人」の優先順位を決める
万が一、スマホが使えず、道に迷ったりトラブルに巻き込まれた時。
子どもは「誰に声をかければいいか」判断できません。
知らない人に声をかけるのは怖いものですが、防犯の観点からも「頼る大人の優先順位」を明確にしておくことが身を守ります。
私が娘に教えていた、おすすめの優先順位を紹介します。
わが家の頼る大人の順番
- 駅員さん・交番のお巡りさん(制服を着ている人は最強です)
- 近隣のお店の人(コンビニや商店街の方)
- おばさん・お母さん世代の女性
- おねえさん・女子高生(優しく対応してくれる確率が高いです)
- 男子高校生(意外と頼りになります)
逆に、「優しそうに見えても、むやみに男性には声をかけない(緊急時を除く)」といった線引きも、家庭の方針として話し合っておくと良いでしょう。
「困ったら誰でもいいから大人に聞く」ではなく、「まず駅員さんを探す。いなければお店に入る」という具体的な行動指針があれば、子どもはパニックにならずに動けます。
2.公衆電話とテレホンカード
今の小学生は、公衆電話の使い方を知りません。
主要な駅にはまだ公衆電話が設置されています。
塾のバッグには、お守り代わりにテレホンカード(または10円玉数枚)を入れておきましょう。
そして、週末の練習の際に、実際に公衆電話から親の携帯にかけてみる練習を一度はやっておくことをおすすめします。
3. 車送迎のリアルと「家庭の価値観」
「帰りが遅いから心配」「車の中で食事や睡眠をとらせたい」という理由で、車送迎を選択するご家庭も多いです。
しかし、車送迎には特有の難しさがあります。
1.近隣トラブルと「待つスキル」
塾の周辺は、お迎えの車で大渋滞します。
近隣住民からの通報で警察が指導に入り、塾から一斉メールで注意喚起が来る……というのは、どこの塾でも見られる光景です。
- 塾の真ん前で待機しない(授業終了のタイミングに合わせて到着する)
- 少し離れた広いコインパーキング等を待ち合わせ場所にする
- エンジンを切って待つ
これらはマナーですが、何よりお子さんに「肩身の狭い思い」をさせないために大切です。
親の車が迷惑駐車をしていると、先生からお子さんを通じて注意されたり、トラブルの原因になったりしてしまいます。
子どもが堂々と通えるよう、ルールは厳守しましょう。
また、親にとっても「毎週決まった時間に待機する」というのは相当なストレスになります。
「仕事が押して迎えに行けない時どうするか」など、親側のバックアッププランも考えておく必要があります。

2.「車種」の話と子どもの自意識
中学受験の世界には、驚くような高級車で送迎されるご家庭も少なくありません。
子どもたちは敏感にそれを見ていますし、男の子同士だと「お前の家、〇〇乗ってるの?」なんて会話も出るようです。
ある先輩ママから聞いた、印象的なエピソードがあります。
ご実家の仕事で使っている「軽トラック」でお迎えに行った際、車に乗り込んできた息子さんの第一声がこうだったそうです。
「えーーー!軽トラで来たのーーーー(ちょっと不満げ)」
これは、子どもが「他人の目」や「社会的な記号」を気にし始める成長の証でもあります。
でも、そこで親が「ごめんね」と卑下する必要は全くありません。
「パパ(ママ)は、この車で毎日働いて、あなたを塾に通わせているんだよ。この車はうちにとって大切な相棒なんだ」
そう堂々と伝えてあげてください。
「よそはよそ、うちはうち」。
この価値観を親がブラさずに持っていることは、これから成績で他者と比較され続ける受験生活において、子どものメンタルを守る一番の防波堤になります。
4. バス・徒歩・自転車のチェックポイント
「近いから大丈夫」と思いがちな徒歩や自転車通塾にも、落とし穴はあります。
1.路線バスは「時間通りに来ない」
バス通塾で一番怖いのは遅延です。
雨の日や夕方の混雑時は、平気で10分〜15分遅れます。
「ギリギリ間に合うバス」を基準にしていると、遅刻しそうになって焦り、テストで実力を発揮できない……なんてことになりかねません。 「1本早いバス」を標準にし、塾に着いてからノートを見直すくらいの余裕を持つ習慣をつけましょう。
2.徒歩は「夜の視点」でルートを確認する
昼間は安全に見える道でも、夜になると表情が一変します。
- 街灯が少なくて足元が見えない道
- 死角になる公園や駐車場の脇
- 人通りが極端に減る近道
Googleマップでは「明るさ」までは分かりません。
必ず「授業が終わる時間帯(20時〜21時ごろ)」に、親子でその道を歩いて確認してください。
遠回りでも、明るく人通りの多い道を選ぶのが鉄則です。

3.自転車は「保険」と「焦り」に注意
多くの方が自転車保険(個人賠償責任保険)に入っていると思いますが、更新忘れがないか念のため確認しておきましょう。
自分のケガだけでなく、相手にケガをさせてしまうリスクへの備えは必須です。
そして、一番危険なのが「遅刻しそうな時の運転」です。
塾の時間に遅れそうになると、子どもは無意識に猛スピードで自転車を飛ばしてしまいます。
「遅刻してもいいから、絶対に飛ばさない」「交差点は必ず止まる」。
この約束を、入塾前にしっかり親子で交わしておいてください。
5. 友達と行くか、一人で行くか
「同じ学校の友達と一緒なら安心」 その気持ちは痛いほどわかりますが、中学受験塾では「一人の行動」が基本になると腹を括っておきましょう。
理由はシンプルで、シビアですが「成績によってクラスが変わるから」です。
クラスが違えば、授業の曜日も、終わる時間も変わります。
「友達と一緒じゃないと行けない」という状態だと、クラス落ちした時に「友達と別れるのが嫌だ」という理由でモチベーションが下がったり、無理に合わせて勉強ペースが崩れたりします。
「塾は勉強しに行く場所。友達とは学校で遊ぶ」。
この線引きを最初にしっかり伝えておくこと。
その上で、たまたま帰りの時間が合った時は一緒に帰っておいで、くらいのスタンスが、3年間トラブルなく過ごすコツです。
6. 週末は親子で「実地シミュレーション」を
最後に、入塾前にぜひやっていただきたいのが、「通塾リハーサル」です。
WEBの乗換案内で「所要時間20分」と出ていても、子どもの足で重い荷物を持っていれば30分以上かかります。
我が家の場合も、「駅まで5分、電車5分、駅から5分」で計15分の計算でしたが、実際は……
- 駅までのんびり歩く
- ICカードが見つからず改札でもたつく
- ホームの自動販売機に興味を示す
- 信号待ち
これらを含めると、倍の30分近くかかりました。
この「見えない時間」を計算に入れず、「なんで20分で着かないの!?」と子どもを叱ってしまうのは避けたいですよね。
親子で実際に歩きながら、「ここは危ないから止まろう」「困ったらここの交番だね」「トイレはここが綺麗だよ」と、会話をしながら地図を頭に入れていく。

このプロセス自体が、子どもにとって「よし、これから通うんだ」という心の準備になります。
最初は親御さんが2〜3回付き添い、徐々に「駅まで送る」「最寄り駅で待つ」と手を離していく。
そんなスモールステップで、安全で無理のない通塾ライフをスタートさせてくださいね。
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