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入試当日の「声かけ」完全ガイド

入試当日の「声かけ完全」ガイド

漫画のような感動は不要! 親が最後にできる空気作りと言葉リスト

いよいよ入試本番。カレンダーの日付が近づくにつれ、お母さんの心臓も早鐘を打つような日々かと思います。

「当日の朝、校門の前で何と声をかけよう?」
「最後に、最高に気合が入る言葉をかけてあげたい」

そう意気込んでいる方も多いかもしれません。
一生に一度の中学受験、親としても悔いを残したくない気持ち、痛いほどよくわかります。

ですが、結論から申し上げます。

当日の朝、親の思い描いた通りの「漫画のような感動的な別れ際」は、まず訪れません(笑)。
むしろ、予期せぬハプニングや、あっけない幕開けになることのほうが圧倒的に多いのです。

今回は、我が家のリアルすぎる体験談(失敗談含む)をベースに、「当日、親が本当に準備しておくべき言葉と心構え」についてお話しします。

記事の後半には、直前期に使える「NGワード→OKワード変換リスト」も用意しました。

これから本番を迎えるご家庭にとって、この記事が当日の朝の「小さなお守り」となれば幸いです。

1. 【前日】夫婦の「温度差」が一番のリスク

まず、当日の朝の話をする前に、前日までにやっておくべき一番大事な準備があります。

それは、「夫婦で当日のテンションと声かけを共有しておくこと」です。

これは意外と見落とされがちですが、非常に重要です。

お母さんは「リラックスさせよう」と努めているのに、お父さんが当日の朝、急にスイッチが入って「絶対合格してこい! 気合だ!」なんて熱血指導を始めてしまったら、どうなるでしょうか。
子どものペースは乱れ、「今さらプレッシャーかけないでよ」と反発心が生まれたり、急に不安になるかもしれません。

絶対合格してこい!と力が入る父親のイメージ

我が家の「パパ作戦会議」

我が家の場合、事前に夫と話し合いの場を持ちました。

夫婦で決めた結論はこうです。

「もう十分、今まで『時間配分を考えろ』とか『記述が雑だ』とか、耳にタコができるほど言ってきた。
だから当日は、もう細かい注意はやめよう。リラックスして送り出すだけにしよう」

今まで散々言ってきた小言を、当日の朝に繰り返しても意味がありません。
むしろ「もう!分かってるよ!!」とイライラさせてしまうだけです。

前日までに「当日の朝は『無』でいこう」と夫婦で決めておくことを強くおすすめします。

実際、パパは何と言ったか?

そして迎えた当日。

示し合わせた通り、夫も私も「頑張れ」とか「絶対受かれ」とは言いませんでした。

夫に至っては、直前になって何を言うかと思えば……

名前、書いてね

……それだけでした(笑)。

「名前書いてねって、低学年じゃないんだから!」と心の中でツッコミましたが、でも、それくらい「力が抜けている」のが、結果的にはちょうどよかったのだと思います。

親がガチガチに緊張して悲壮な顔をしているより、ちょっと拍子抜けするくらいのほうが、子どもは平常心でいられます。

  • POINT: 当日の朝は「激励」も「注意」も不要。日常通りの低い温度で送り出しましょう。

2. 【朝の移動】子どもは意外と「観察」している

「入試当日は、子どもも緊張でガチガチになるはず」

そう思い込んでいませんか? 実は、子どもは親が思う以上にタフで、冷静な場合があります。

電車内での実況中継

統一日の朝、わが子は心なしかテンション高めでした。

電車の中には、同じく入試に向かう親子連れがたくさん乗っています。
すると娘は、周りをキョロキョロ見渡して実況を始めました。

あの子はNバッグ(日能研)だ

こっちは希学園だね

あっ、あの子は浜学園の子だ!

私たちが住む関西エリアの受験風景ですが、まるでこれからフェスにでも行くかのようなリラックスムード。

ここで親が「よそ見しない! 参考書を見なさい!」と言うのは野暮というものです。
この「観察モード」に合わせておくのが正解だと感じました。

子どもが外の世界に興味を持っているのは、心に余裕がある証拠。

「へぇ、いろんな塾の子がいるね」と相槌を打ちながら、「みんな同じ受験生なんだ」という事実を共有するだけで十分です。

3. 【校門前】言葉よりも「空気」で伝える

いよいよ学校に到着し、保護者と受験生の動線が分かれる運命の場所。

ここで私は、事前に決めていた「試験、楽しんでおいで」という言葉をかけるはずでした。

どんな難問が出ても、苦手な物理が出ても、それすら楽しんでほしい。そんな願いを込めていました。
しかし、現実は小説のようにはいきません。

感動の別れを打ち砕く「さくらちゃん」

私が声をかけようとした、その瞬間。

あっ! さくらちゃーーーん!

娘の視線の先にいたのは、同じ塾のお友達。

教室何階? えっ同じ? 一緒に行こ!!

娘は私を振り返ることもなく、お友達と腕を組んで、吸い込まれるように校舎へ消えていきました。

「ここまで頑張ってきたんだから、あなたなら出来る!」という熱い抱擁も、「お母さん、今までありがとう」という涙の感謝も、一切なし。

私はあっけにとられ、ぽつんと取り残されました。

一瞬、「あれ? トイレのこと言ったっけ?」「時間配分は?」と不安がよぎりましたが、それは前日の夜に伝えています。

「あっさり行ってしまうくらい、この子は前を向いているんだ」

そう思うことにして、私は言えなかった「楽しんで」を心の中で唱えながら見送りました。

試験会場に友達と一緒に向かう子どものイメージ

近所の人に「お出かけ」と間違われる

実はこの話には後日談があります。
本命校の日、家を出る際に「楽しんで」と伝え、ご近所の方に会って挨拶をして学校へ向かいました。

帰宅後、そのご近所さんからこう言われたのです。

「朝、出かける時にめっちゃ楽しそうだったけど、どこに行ってたの?観光??」

「いや、今日(中学)受験だったんです」と伝えると驚かれましたが、私はとても嬉しかったのです。

「楽しんでおいで」という私の思いや、我が家の空気感は、ちゃんと子どもに伝わっていたんだと。

直前の言葉選びに悩みすぎる必要はありません。
親が笑顔で、楽しそうに送り出す。
それだけで、子どもは安心します。

  • POINT: 別れ際はあっさりでもOK。「楽しんで」の思いは、親の背中と笑顔から伝わっています。
入試の朝、穏やかに試験会場に向かう家族のイメージ

4. 【会場・待機中】親が守るべき「心の聖域」

自分たちの準備は万端でも、当日は「他人の言動」にペースを乱されることがあります。
ここは親が防波堤になるべき場面です。

「簡単だった!」の声に動揺しない

会場では、いろいろな親子の姿が見えます。
手作りのお守りを持っている素敵な親子を見て、「うちは市販品でごめん……」と勝手に引け目を感じることもあるかもしれません。
でも、よそはよそ、うちはうちです。

もっとも警戒すべきなのは、試験終了直後のシーンです。

子どもが出てきた瞬間、あるお母さんが大きな声で「どうだった!?」と聞き、お子さんが「うん、簡単だったよ!」と答える場面に遭遇しました。

その瞬間、周りの空気が凍りつきました。

うちの子も含め、周りにいた他の受験生や親御さんの顔色がサッと変わるのがわかりました。
「えっ、簡単だったの? 難しかったと感じた自分はヤバイ?」と不安になるからです。

もし「簡単だった」「あの問題、答えは〇〇だよね」という声が聞こえてきたら、物理的に距離を取るか、お子さんに「人は人だから気にしない!」と即座に声をかけてあげてください。

そして何より、私たち親自身が、会場ですぐに「どうだった?」と聞かないこと。
これが鉄則です。

試験後、簡単だったとママに報告する子供の周りで不安になる家族のイメージ

5. 【帰宅後】家は「反省会」ではなく「充電場所」

試験が終わって合流した時、あるいは家に帰ってきた時。
ここでの親の対応が、午後入試や翌日のメンタルを左右します。

私は、試験の内容については一切聞きませんでした。

「できた?」と聞いたところで、終わった試験の点数は1点も変わりません。
もし「計算ミスしたかも」なんて話になれば、引きずってしまいます。

代わりに聞いていたのは、こんなことです。

  • 「同じ教室に、誰か知ってる子いた?」
  • 「先生、どんな人だった? 優しそうだった?」
  • 「教室、暑くなかった?」

脳を「試験モード」から「日常モード」に切り替えるための雑談です。

家は「反省会をする場所」ではなく、「次の戦いに向けてエネルギーを充填する場所」。
美味しいご飯を用意し、「お疲れ様、ゆっくりして早く寝よう」と、いつも通りの笑顔でいることだけを心がけました。

6. 【全日程終了】結果の前に伝える「3年間の承認」

怒涛のような入試期間が終わり、最終試験の日。
すべての日程を終えた時、私は子どもにこう伝えました。

「3年間、よく頑張ったね」

合否の結果が出る前です。

結果がどうであれ、この3年間、遊びたいのを我慢して塾に通い、夜遅くまで机に向かった「過程」は、絶対に消えません。

その努力そのものを、結果が出る前に肯定してあげたかったのです。
子どもも、ホッとしたような顔をしていました。

合格・不合格という結果は、時の運も絡みます。
でも、「頑張った事実」は、誰にも奪えないお子さんの財産です。
それを一番近くで見てきたお母さんが、言葉にして認めてあげる。

それこそが、中学受験という長い旅の、本当のゴールなのかもしれません。

7. 【保存版】直前期〜当日の「NGワード→OKワード」変換リスト

最後に、つい言ってしまう「NGワード」と、それをポジティブに変換した「OKワード」をまとめました。

直前期や当日の朝、口に出しそうになったら、このリストを思い出してください。

① 注意・アドバイス編

NGワード(不安を煽る)OKワード(行動を促す)理由・効果
「ミスしないでね」「丁寧に読もうね」人間の脳は否定形(〜しない)を理解しにくいと言われます。「ミス」という言葉を連想させるより、「丁寧に」という肯定的な行動イメージを伝えます。
「時間配分、気をつけて」「時計を見てね」「気をつけて」は抽象的で焦りを生みます。「時計を見る」という具体的なアクションを伝える方が、子どもは冷静になれます。
「絶対、合格!」「力を出し切っておいで」合格は相手(学校)が決めることですが、力を出し切ることは自分でコントロールできます。コントロール可能なことに集中させましょう。

② メンタル・会話編

NGワード(プレッシャー)OKワード(安心感)理由・効果
「大丈夫? 緊張してない?」「いつも通りでいいよ」「大丈夫?」と聞かれると、「自分は大丈夫じゃないのかも」と不安になります。「いつも通り」という言葉が、一番の鎮静剤です。
「どうだった? できた?」「お疲れ様!」試験後に手応えを聞くのは百害あって一利なし。ただ「お疲れ様」と労い、温かい飲み物を渡すだけで十分です。
「あの子はできてそうだった」「人は人、うちはうち」他人と比較しても点数は上がりません。親が毅然と「よそは関係ない」という態度を示すことで、子どもも安心します。

まとめ:準備は入念に、当日は「ケセラセラ」で

入試当日の声かけと心構えについてまとめます。

入試当日の声かけと心構え

  1. 夫婦で事前共有: パパの熱血指導を防ぎ、「リラックス重視」で統一する。
  2. 別れ際はあっさりでもOK: 友達と行ってしまっても、それは「前を向いている」証拠。
  3. 「簡単だった」はノイズ: 他人の声に耳を貸さない。
  4. 「どうだった?」は禁句: 終わった試験の話はせず、雑談で脳を休ませる。
  5. 最後に「労い」を: 結果の前に「3年間頑張ったね」と伝える。

いろいろシミュレーションしても、当日はきっと想定外のことが起きます。

でも、お母さんが「まあ、なんとかなる!」と腹を括って、笑顔でどっしり構えていること。

近所の人に「家族でお出かけ」と間違われるくらいの明るいオーラを出していること。
それこそが、どんな言葉よりも強力な、お子さんへの「合格のお守り」になるはずです。

お母さんもあと少しです。
どうぞ、深呼吸して。

いってらっしゃい!

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