
“80%の合格可能性”の裏にあるデータの真実
中学受験塾が出す志望校別模試結果や偏差値表には「A判定」「B判定」「C判定」などの偏差値での合格可能性が表示されます。
多くの保護者が、A判定=安全圏と思いがちですが、実際にはそう単純ではありません。
偏差値という数字の裏には、「母集団のレベル」や「出題傾向の違い」など、見えない要素がいくつも隠れています。
A判定でも実際の合格率が50%前後にとどまるケースもあるのが、中学受験の現実です。
目次
A判定の“80%”とはどういう意味か?
A判定の基準は塾ごとに多少の違いはありますが、ある中学受験塾では次のように設定されています。
▼たとえばA判定基準が偏差値60の受験校だった場合
| 判定 | 偏差値基準 | 合格者の割合 |
|---|---|---|
| A判定 | 60以上 | 80% |
| B判定 | 59以上 | 70% |
| C判定 | 58以上 | 60% |
つまり「A判定=80%の合格可能性」とは、
偏差値60以上の受験生のうち、合格した人が全体の80%を占めるという意味です。
しかし、ここで注意が必要です。
実際に偏差値60ちょうどのラインにいる子の合格率は、必ずしも80%ではありません。
データを細かく見ると、ギリギリのA判定層では50%程度にとどまることもあります。
▼A判定基準が偏差値60の受験校の合格者データ(仮定)
| 偏差値 | 受験者 | 合格者 | 合格者の割合 |
|---|---|---|---|
| 62 | 10 | 10 | 100% |
| 61 | 10 | 9 | 90% |
| 60 | 10 | 5 | 50% |
| 59 | 10 | 4 | 40% |
| 58 | 10 | 2 | 20% |
偏差値60がA判定ライン(合格率80%)の場合、上記表で考えると、
偏差値60~62のデータを集計して合格者(10+9+5)÷受験者(10+10+10)=24÷30=80%となるわけです。
しかし実際にはA判定ギリギリの偏差値60の場合の合格率は50%である可能性があります。
B判定の偏差値59やC判定の場合、それは70%や60%の合格率ではなく、もっと厳しい数値と予想されます。
先述しましたように各塾での合否判定基準も違いますし、受験校ごと、各年度ごと様々な要因があって、合格率(合格者人数)という結果が出ますので上記表のように単純ではありませんが、A判定の偏差値に到達しているからといって、それが安心材料とならないことはご理解いただけると思います。
A判定でも、実際の合格率は半分に届かないことがある――これが中学受験の現実です。
既に通塾されているご家庭は、塾のA判定の基準をしっかり確認しておきたいところです。
A判定をどのように受け止めればいいのか?
塾・模試ごとの「母集団」が違う
浜学園、希学園、馬渕教室、日能研、SAPIX、四谷大塚など、模試によって受験者層のレベルが大きく異なります。
たとえば、上位層が多い模試では偏差値が全体的に低く出る傾向があり、同じ「偏差値50」でも塾によって実際の位置づけが全く違うことはご周知のとおりです。
当たり前ですが、受験した模試の塾に対応した偏差値で合否判定を考えなければなりません。
ネットの偏差値情報や他塾の偏差値表はアテにしないのが鉄則です。
そして、A判定ギリギリの偏差値だった場合、確実に合格するためにはもう少し底上げが必要だと考えておくべきです。
出題傾向が入試と違う
模試の問題は、塾独自の出題傾向に基づいて作られています。
そして1番大きいな問題として、志望校別判定模試などは多数の受験校に対応しているため、基礎~標準~応用問題まで幅広く出題されるため、最難関志望の方には点数がとりやすい試験となっている場合があります。
そのため、実際の志望校の出題形式や思考パターンとズレがある場合、模試ではA判定でも本番では苦戦ということも。
実際、我が家も公開テストでは基準の偏差値をクリアしてA判定をもらっているけど、学校名がついた冠模試やプレテスト・オープン模試などでは不合格判定ってこともよくありました。
だからこそ、学校校の名前のついた模試や過去問での確認が欠かせません。
過去問で「本当の合格可能性」を見極める
過去問演習は、単に得点を測るためのツールではありません。
実際の出題形式・分野配分・難易度を確認し、自分の得点力がどの位置にあるかを把握する“現実チェック”の場です。
A判定をもらったあとこそ、
- 志望校の過去問で安定して合格最低点を超えられるか?
- 苦手な単元が出たときにどの程度カバーできるか?
- ミスのパターンが毎回同じではないか?
といった点を丁寧に確認しておくことが重要です。
A判定は「油断ライン」ではなく「確認ライン」
とはいえ、A判定を取れたということは、努力の成果がきちんと出ている証拠です。
しかし、それは“安心の証明”ではなく、「ここからもう一段上を狙うライン」と捉えるのが賢明です。
受験本番は一発勝負。
その日の体調、試験の出題傾向、わずかなケアレスミス――すべてが合否を左右します。
A判定だからこそ、気を緩めず、
ポイント
- 基礎の取りこぼしをなくす
- 苦手単元の徹底補強
- 本番想定の時間配分練習
といった“詰めの努力”が合格を確実にする鍵になります。
模試判定は、あくまで現在位置を示す地図のようなものだと思います。
その地図をもとに、過去問でルートを確認し、確実にゴールへたどり着く。
それが、A判定を“本当の合格”につなげるための最善の道だと思います。
不安があれば、塾に相談
「本当にこの成績で大丈夫?」「志望校は変更した方がいい?」など6年生で受験期が近づくと心配事が尽きないですよね。
11月はそろそろ出願も近づいてきていますから、ゆっくり考えている時間はありません。
しっかりとした受験プランがあれば問題ありませんが、成績と照らし合わせて受験プランを変更しないといけない場合もあると思います。
そんな時は、塾の先生や担当の方にご相談されるのがよいかと思います。
「こんな時期に先生もお忙しいからご迷惑じゃないかな」なんて考えてしまいますが、電話でも相談は出来ますし、何より沢山の子供達をみてきた先生方がその肌感でお子様にあった適切なアドバイスをくれると思います。