科目別の勉強法

【中学受験】宿題は「3回転」しないといけない??偏差値を守る「勇気ある間引き」と「先生への相談術」

「クラスのトップ層は、宿題を3回まわしているらしいよ」

塾の保護者会やママ友とのランチでそんな噂を耳にして、「えっ? 学校行って、塾に行って、いつそんな時間があるの?」と血の気が引いたことはありませんか。 私もそうでした。わが子のスケジュール帳をどう睨んでも、物理的に「3回」なんて入る隙間がなかったからです。

大手塾では「宿題は3回繰り返して定着させましょう」と指導されることが多いです。 確かに、もし本当に3回まわせるなら、それは理想的ですし、確実に実力はつくでしょう。これは間違いなく「正論」です。

しかし、これを真に受けて「回数をこなすこと」を目的にしてしまうと、親子ともに潰れてしまいます。 今回は、わが家の実体験をもとに、時間の限られた家庭が生き残るための「宿題の回数戦略」と、それを支える「親の環境作り」についてお話ししたいと思います。

「全問3回転」は理想。わが家の「現実的な最低ライン」

そもそも、子供の「処理速度」には個人差がある

焦る前に、残酷ですが知っておくべき現実があります。それは「子供によって、1回転にかかる時間は倍以上違う」ということです。

以前、算数が得意なお友達に聞いたことがあります。わが子がウンウン唸って5時間かけて終わらせた宿題を、その子は涼しい顔で2時間で終わらせていました。 2時間で終わるなら、2回、3回と回す時間もあります。でも、5時間かかる子が同じことをしたら? 15時間です。休日丸1日つかっても終わらないということになります。

心理学や発達検査(WISCなど)の指標に「処理速度」や「ワーキングメモリ」というものがあります。 簡単に言えば、人間には「1回見れば覚えられるタイプ」と、「何度も書いて体に染み込ませるタイプ」がいます。これは生まれつきの脳の特性(スペック)の違いです。

これを根性論で埋めようとしてはいけません。 「あの子は光回線、うちはADSL」ぐらいに割り切ってください。回線速度が違うのに、同じ量のデータを同じ時間でダウンロードしようとしたら、こちらのサーバー(子供の脳)がダウンします。 だからこそ、「回数」ではなく「質の向上」「間引き」という戦略が必要なのです。

109mama流・最低ラインの定義

そこでわが家は、「理想は3回」としつつも、現実は「最低ライン」を死守するスタイルをとりました。

わが家の最低(死守)ライン

  • 1回転目: 全力で解く(これがメイン)。
  • その日の解き直し: 間違えた問題だけ、その日のうちに納得するまで解き直す。
  • 後日の解き直し: 塾の授業の前日などに、「×」だった問題だけもう一度解く。

「全部」を回すのではなく「間違えたもの」に絞ることで、どうしても2回転、3回転できない時はこのスケジュールで回していました。

【時短の極意】『授業』と『帰宅後』の連携プレー

「1回転+直し」で戦うには、1回転目の質を極限まで高める必要があります。 そこでわが家が意識していたのが、「忘却との戦い」です。

1.授業は「お客さん」にならない。その場で理解して帰る

宿題の時間が足りなくなる原因のひとつに、「家で授業の再現(学び直し)」をしていることが挙げられます。

塾の授業をボーっと聞いていると、結局家に帰ってから「あれ、どうやるんだっけ?」となり、Web講義を見直したり、テキストを読み込んだりする時間が発生します。 これでは、いつまで経っても宿題という「演習」に取り掛かれず、初動でつまずいてしまいます。

私は子供に、口を酸っぱくしてこう伝えていました。

「せっかく時間を使って塾に行ってるんだから、その時間内に内容を理解して帰ってきてね。家で悩み込む時間はもったいないよ」

授業中に「理解」まで終わらせてくること。 これが、家庭学習の時間を確保する最強の時短術です。

2.「1週間後」にやると、倍の時間がかかる

例えば、火曜日に習った単元の宿題を、次の火曜日の前日(月曜日)にやるとします。 すると、子供はどうなるか? 「あれ? 先生なんて言ってたっけ? 公式なんだっけ?」 という「思い出し」からスタートするため、解くのにものすごく時間がかかるのです。この「思い出す時間」が一番もったいない!

3.塾から帰宅後、数問だけでもやる

だから理想は、「記憶が熱いうちにやる」こと。 わが家では、塾から帰ってどんなに遅くなっても、「その日習った範囲の問題を、数問だけでも解く」ようにしていました。 全部やる必要はありません。簡単な計算や基本問題を2〜3問解くだけで、「あ、こういう解き方だったな」と脳に定着します。

この「ちょこっと復習」をしておくだけで、後日宿題をやる時のスピードが劇的に速くなります。

科目別・学年別の「間引き」と「時短」テクニック

さらに、全単元を均等にやるのではなく、学年や科目特性に合わせて「濃淡」をつけました。

1. 理科・社会は「傾斜配分」で乗り切る

わが家では以下のように回数を調整していました。

  • 苦手な単元: 基礎問題を2回 + 応用問題を1回(基礎を厚くして土台を固める)
  • 得意な単元: 基礎問題を1回 + 応用問題を2回(基礎は確認程度にし、実戦力を磨く)

特に理科については、単元の得意不得意が成績にはっきり出る科目だったので、基礎を固めるために苦手な単元は、意識的に「基礎2回+間違い解き直し2回」と厚めに設定していました。

2. 算数の図形:5年生までは「書く」、6年生は「コピー」

図形問題の図をノートに写す作業。これにも「時期による戦略」があります。

  • 5年生までは: 面倒でも、極力自分で図を描かせていました。 平行線の感覚や、立体の見え方といった「図形感覚(センス)」は、自分の手で描くことで養われるからです。
  • 6年生以降は: 最高レベル特訓などで図形が複雑になり、かつ時間が惜しくなります。この時期からは、「コピー機」を解禁しました。 図のトレースに時間がかかりそうな場合は、家庭用コピー機で問題図をコピーし、ノートに貼る。ハサミとのりで時間を買っていました。

3. 国語:文章題の「解き直し」は無駄。やるべきは「弱点リスト化」

多くのご家庭がやりがちなのが、国語の長文読解の解き直しです。 しかし、子供はストーリーや答え(記号の順番など)を覚えているため、直後の解き直しは「記憶テスト」になりがちで効果が薄いです。

国語でやるべきは、もう一度解くことではなく、「なぜ間違えたかの根拠」を確認すること。 そして、わが家では「ミスの見える化」を行っていました。

【国語の時短復習法】 問題集の余白ページやノートの端に、間違えた「漢字」や「語句」だけを書き出しておくのです。この「書き出しリスト」なら、復習テストや公開テストの直前にパラパラ見るだけで、1分で復習が完了します。 (実際に、これで漢字や語句の取りこぼしが激減しました)

間違えた漢字などは右の余白ページに書き出し
知らなかった語句は意味調べをその都度しておく

【丸つけの鉄則】親がやりすぎると「やりっぱなし星人」になる?

「丸つけは親がすべきですか? 子供にさせていいですか?」 これに対するわが家の答えは、「基本は本人、記述は親」です。

「解く→採点→直す」をセットにする

低学年のうちは親がマルをつけてあげて、褒めてあげるのも良いでしょう。 しかし、高学年になっても親が全て丸つけをしていると、子供は「解いたら終わり(あとはママよろしく)」という思考になりがちです。これで、「やりっぱなし」の子供が出来上がってしまいますし、時間がかかってしまいます。だからこそ、解き直しはすぐやるのが鉄則です。

わが家では低学年の頃から「進研ゼミ(チャレンジタッチ)」をやっていたおかげで、「解く→即自動採点→すぐ解き直し」というサイクルが身についていました。 自分のミスとすぐに向き合うこと。これも勉強の一部です。

もし、これから受験勉強を始めるご家庭で、お子さんがまだこのサイクルを持っていないなら、最初は必ず親が横についてあげてください。
「間違えたらすぐ直す」が呼吸するようにできるようになるまでは、目を離してはいけません。

国語の記述だけは「親の出番」

ただし、国語の記述問題だけはお母さんが見てあげてください。 子供に採点させると「まあ大体あってるからマル!」としてしまったり、「この答えでもいいのかな?」と迷って採点に時間がかかってしまいます。 「ここは良いけど、この言葉が足りないから△だね」とジャッジしてあげる。記述に関しては親の介入が最短ルートです。

怒ると「答えの丸写し」が始まる

そして、丸つけにおいて最も重要な「親の禁じ手」をお伝えします。 それは、「×(バツ)がついたことに対して怒る」ことです。

「なんでこんなの間違えるの!さっきやったでしょ!」 この一言を言った瞬間、子供の目的は「理解すること」から「親に怒られないこと」に変わります。 するとどうなるか? 答えをこっそり見て写したり、マグレ当たりするまで適当に書いたりするようになります。 これでは勉強時間がすべて無駄になります。

お子さんにはこう伝えてください。 「×(バツ)は宝物だよ。今できないところが見つかったんだから、ここが出来るようになると成績があがるよ」 ×を歓迎する空気を作ること。これが、効率よい解き直しの第一歩です。

【環境投資】小4でA3プリンターを買うべき理由

「宿題が回らない」と悩む前に、環境を見直すことも大切です。 わが家では、小4の時点で「A3対応の複合機(プリンター)」を購入しました。中学受験家庭にはおなじみのブラザー製です。

1. 6年生だけじゃない! 小4から活躍する理由

「プリンターなんて6年生の過去問時期だけでしょ?」と思っていましたが、意外と早くから活躍しました。 塾のプリントはもちろんですが、意外と使えるのが「小学校のカラーテスト」の保存です。

小学校から持ち帰る大量のテスト。「思い出になるかも」と思うと捨てられず、溜まっていく一方ではありませんか? 私はこれをサクッとスキャンして、データとして保存してから捨てていました。 「いざとなればデータがある」と思えば、罪悪感なく捨てられて部屋がスッキリします。心の断捨離ツールとしても、プリンターは優秀です。

もちろん、小学校のプリントだけじゃありません。塾からの大量のプリントもスキャンしておけば安心して捨てることが出来ます。経験からお話すると、4年生のプリントを5年生になって見返すことはほとんどありません。
4年生のプリントは捨ててしまっても大丈夫です。
5年生のプリントは置いておきましょう。6年生になって苦手単元が出た時に、基礎が出来てないことがあり5年生まで戻って確認する必要があるからです。その時に役に立ちますので、捨てる前に必ずスキャンしておきましょう。

2. 「コピー」で時間を買う

もちろん、6年生以降は図形問題や過去問をコピーしてノートに貼ることで、作図や書き写しの時間を大幅にカットしました。 コンビニに行く時間、雨の日に外出するストレス…それらを考えれば、3〜4万円の投資はすぐに元が取れます。

【生活リズム】22時30分以降は、勇気を持って「寝る」

最後に、生活リズムと塾との付き合い方の話をします。 「宿題が終わるまで寝かせない」というご家庭もありますが、わが家は逆でした。 「22時30分(6年直前期は23時)には絶対に寝る」 これを鉄の掟にしていました。

宿題が終わっていなくても電気を消す

子供が泣きながら「まだ終わってない!」と言っても、時間が来たら終わりです。 理由はシンプルで、睡眠不足の脳で勉強しても、ザルで水をすくうようなものだからです。 6時間睡眠でフラフラしながら授業を受けるより、8時間寝てスッキリした頭で授業を聞くほうが、定着率は何倍も高くなります。

先生に怒られる? 実はそんなことないんです

「でも、宿題やっていかないと先生に怒られるんじゃ…」 そう心配になるお母さんも多いと思います。

もし終わらなかったら、 「先生に怒られるかもしれないけど、それは時間の使い方が悪かった勉強代だね」 と割り切って送り出していました。

でも実際、わが家が通っていた浜学園の場合、「宿題をしていないから」といって怒られたことはほとんどありませんでした。 おそらく、全部は終わっていなくても、途中までは頑張った跡が見えていたからかもしれません(笑)。 「ここまでやったならOK」と認めてもらえていたようです。

【最重要】全部やるのは無理。先生に「優先順位」をお願いする技術

そして6年生。我が家の場合、過去問や志望校別特訓が始まると、最高レベル特訓を中心にいよいよ宿題が「最低ライン」すら回らなくなりました。 そこで必要になるのが、塾の先生との連携(相談)です。

「宿題を減らしてください」と言うと、サボりだと思われるかもしれない…。 そう不安になるお母さんも多いですが、伝え方ひとつで先生は強力な味方になります。

ステップ1:最初は親から「お願い」する

まずは親から先生に相談しました。 「先生、本人の処理速度だと全てを回すのが難しくなってきました。志望校合格のために、『今週、絶対に落としてはいけない問題(重点箇所)』を子供に伝えていただけませんか?」

「減らしたい」ではなく「重点を知りたい(そこは完璧にやりたい)」と伝えるのがポイントです。

ステップ2:子供自身が「質問タイム」に聞きに行く

親が道筋を作ったら、あとは子供の出番です。 わが子は、授業後の質問タイムなどを利用して、先生に「次の単元はどこをやればいいですか?」と聞きに行くようになりました。

塾の先生

ここは必須。こっちは余裕があればでいいよ

わかりました!

こうして教えてもらった問題を最優先にし、「2回転目はそこだけ」「どうしても時間がない時は1回転目もそこだけ」と割り切りました。

「復習テスト」を捨てる勇気

当然、指定された範囲以外が出れば、塾の「復習テスト」の点数は下がります。 でも、私たちは復習テストの点数」よりも「志望校対策」を選びました。

先生と子供の間でも、 「いつも質問タイムに『問題カット』ばっかり聞きに来てたよね(笑)」 と、受験が終わった今では笑い話になっています。

直談判というほど大袈裟なことではありません。「全部やりたい気持ちはあるけれど、質を落としたくないので優先順位を教えてください」というスタンスなら、先生も快く導いてくれるはずです。

まとめ:親は「管理」ではなく「勇気ある選択」を

「みんなと同じ量」をこなすことが安心材料になる気持ちはわかります。 でも、中学受験のゴールは「宿題を提出すること」ではなく「志望校に受かること」です。

もちろん、お子さんの処理速度が速く、睡眠時間を削らずに3回まわせるなら、それに越したことはありません。それは間違いなく最強の武器になりますので、ぜひ続けてください。

ただ、もし「終わらない!」と親子で泣きながら机に向かう夜があるなら、一度立ち止まってください。
その3回転目、本当に必要ですか?

  • 5年生までは基礎体力(学習体力)作りのために、少し無理をしてでも回す。
  • 6年生になったら、勇気を持って「捨てる」「絞る」。
  • 「帰宅後すぐの数問」で記憶を繋ぎ止める。

完璧主義を捨てて、わが子のスペックに合った「戦略的撤退」を選ぶことも、親としての立派なサポートです。

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