
家庭教師・個別指導・専門塾の3つの選択肢と、わが家の場合
中学受験の勉強が本格化してくると、多くのご家庭が一度は考えるのが「塾のフォローをどうするか」という問題です。
- 授業では理解できているように見えるのに、家に帰ると手が止まってしまう。
- ノートを見返しても何を習ったのかピンとこない。
- テストでは“惜しいミス”が続き、成績が伸び悩んでしまう。
本来であれば、塾の授業だけで完結するのが理想ですし、ご家庭でしっかりフォローできるなら、それが1番の理想です。
けれど5年生になる頃から、学習量が一気に増え、「塾のペースについていくのが大変」というお子さんも少しずつ増えてきます。
そして6年生になると、志望校別の演習が本格的に始まり、
「今の弱点をこのままにしておいて大丈夫だろうか…」
「本番に向けてできる限りの準備をしてあげたい」
という焦りにも似た気持ちが生まれてきます。
家庭で手助けしたい気持ちはあっても、現実的には難しいことも多いですよね。
親が働いていると、平日の学習を細かく見る時間が確保できません。
また中学受験の内容は高度で、親世代とは学び方も違うため、どこでつまずいているのかを見抜くのも難しい。
そして、「とりあえず、勉強しなさい」
——この一言では、残念ながら成績は上がりません。
そんなとき、多くの家庭が検討し始めるのが次の3つです。
① 家庭教師
② 個別指導
③ 科目専門塾(外部の専門講師によるフォロー)
どれも魅力があり、どれも一長一短。


わが家も通塾前は「塾以外に個別指導なんて、本当に必要なの?」と思っていましたが、実際には短期間で ②個別指導と③専門塾を利用しました。
浜学園でもフォローとして個別指導教室Hamax を活用しているご家庭は少なくありませんし、知り合いの中には、塾とは別に家庭教師を3人つけている方もいました。
当時は驚きましたが、今振り返ると
塾のフォローを外部に頼ることは、特別なことではなく“よくある選択肢” だと感じています。
この記事では、この3つの選択肢をわかりやすく整理し、後半ではわが家の実例も交えながら、
「どんな選び方があるのか」「どんな場面で力になるのか」
をお話ししていきますね。
目次
フォローアップが必要になるのは、5年生くらいから
中学受験塾は、基本的に「理解できている前提」でどんどん進んでいきます。
4年生では通塾や学習サイクルに慣れることが最優先で、学習に関しても基礎の積み上げが中心で、まだ親が横について補助してあげられる範囲も多いのでさほど必要性は感じないかもしれません。
ですが5年生に入ると様子が一変します。
・単元の抽象度が上がる
・算数に“思考の深さ”が求められる
・国語は文章量が増え、語彙レベルも上昇
・理科・社会は暗記+理解の両輪が必要になる
とくに算数と国語は、小さなズレが大きなズレにつながる時期です。
一度置いていかれると、自分ではどこからやり直せばいいのか分からなくなる。
宿題を前にして固まってしまったり、テストで空欄が増えてしまったり。
親が横で「ここだよ」と指示するだけでは立て直しに限界があり、“塾の授業についていくためのフォロー”が必要になってくる場合があります。
6年生になると、志望校別特訓や過去問演習が重なり、学習量も一気に増えます。
この時期に弱点を放置すると、子ども自身も「苦手だからやりたくない」という心理になりやすく、自己肯定感にも影響してしまうことがあります。
だからこそ、早めのフォローが、その後の安心につながります。
選択肢①:家庭教師
家庭教師は、もっとも柔軟でオーダーメイド型のフォローになります。
子どもだけをしっかり見てもらえるという安心感があり、まず検討するご家庭も多い方法です。
とはいえ、「家庭教師」とひとことで言っても、講師のタイプや指導範囲は本当にさまざま。
うまくハマれば強力なサポートになりますし、そうでない場合は効果が出にくいこともあります。
家庭教師のメリット
●マンツーマンだから、つまずきが見えやすい
横で見ているからこそ、「計算はできるのに図形になると止まる」「式が書けないのは、言葉の理解が追いついていないから」
といった、本人も自覚していない弱点にすぐ気づいてもらえます。
子どもの思考の癖をつかんで指導してもらえるのは、マンツーマンならではの良さです。
● 子どものペースや家庭の予定に合わせやすい
学校行事や塾の宿題量に合わせて、授業時間を調整できるのは大きなメリット。
「今日は疲れているから軽めに」「今日は苦手単元を集中して」など、柔軟に変更できます。
● 自宅で完結するので、親も子も負担が少ない
通塾の移動がないため、時間も体力も節約できます。
“家で学べる安心感”が大きいと感じるご家庭も多いです。
家庭教師のデメリット
● 講師の質にばらつきがある
家庭教師は、大学生からベテラン講師まで幅広い層がいます。
なかには中学受験指導に精通したプロもいますが、本当に一握り。
人気講師は直前期は予約が取りにくく、費用も高額になりやすい傾向があります。
また、
・子どもへの声のかけ方
・モチベーションの扱い方
・指導の“深さ”
こうした点でも個人差が大きく、相性によって成果が大きく変わることも。
● 親が“弱点の方向性”を把握していないと、授業が迷走する
「とりあえず算数をお願いします」
これだけだと、講師側も“どこから進めるべきか”見立てが難しく、授業が迷走してしまうことがあります。
特に中学受験は単元の積み上げが重要なので、弱点の方向性がズレたまま指導すると、時間だけが過ぎてしまうことも。
● 講師交代のハードルが高い
「なんか合わないかも」と感じても、次の講師が見つかるまでに時間がかかることがあります。
子どもが一度“苦手意識”をもってしまうと、信頼関係を再構築するのにも時間が必要です。
●家に来てもらう準備が意外と負担になる
自宅で受けられるぶん、
・部屋の片付け
・親の在宅時間
など“迎える側の負担”があるのも見落としがちなポイントです。
家庭教師は、うまくハマれば大きな力になる一方で、“誰に教わるか”によって効果が大きく変わるサービス といえます。
講師選びがもっとも重要なステップになるため、事前の情報収集や体験授業での見極めが欠かせません。
選択肢②:個別指導
次に多くのご家庭が検討するのが個別指導です。
家庭教師よりも始めやすく、学習習慣づくりとして利用されている方もとても多い印象があります。
「まずは週1回だけでも誰かに見てもらいたい」
そんなときに選びやすいのが個別指導かもしれません。
個別指導のメリット
● 通いやすく、気軽にスタートしやすい
個別指導は校舎数も多く、立地が良い教室がほとんど。
教室の雰囲気も「塾ほどの緊張感はないけれど勉強はしやすい」というところが多く、子どもにとって入りやすい場所になりやすいです。
● 講師とコミュニケーションが取りやすい
マンツーマンや少人数スタイルのため、講師とのコミュニケーションが取りやすく、
「この先生と勉強するの楽しい!」
と子どもが感じてくれれば、それだけで勉強のハードルがぐっと下がります。
信頼できる先生に出会えたときの効果はとても大きいです。
● 費用が家庭教師より抑えられるケースが多い
個別指導は家庭教師より費用が低めで、
「週1だけ補助したい」
「苦手単元のときだけお願いしたい」
という家庭にも取り入れやすい選択肢です。
個別指導のデメリット
● 大学生講師が多く、専門性に差が出る
大学生講師にも素晴らしい方がたくさんいますが、中学受験特有の思考法や“つまずきポイント”を深く理解している講師となると、どうしても指導力に差が出てしまいます。
「優しいけれど、受験内容の説明が少し浅い」
「解説はできても、なぜそう考えるかを言語化してもらえない」
といったギャップが生まれることも。
● 宿題を見るだけで終わるケースもある
個別指導は「持ってきた宿題を一緒に進める」スタイルも多く、一見“できているように”見えるのですが、“理解の根っこ”が弱いまま終わってしまうケースもあります。
「帰るとまた解けない」という状況は、ここから生まれやすいです。
● 講師が毎回固定されない場合、積み上げがしづらい
担当講師が変わると、授業の流れが断続的になりやすく、子どもの理解度やつまずきの背景が共有されにくくなります。
学習の積み上げがうまくいかず“効果が分かりにくい”という声もよく聞きます。
個別指導は便利で取り入れやすい一方、“中学受験専門の講師がいるかどうか” が大きなポイントになります。
個別指導塾の中には、
・高校受験フォロー
・学校の補習
・定期テスト対策
をメインにしている場合があり、中学受験特有の難易度やカリキュラムをしっかり理解しているか の見極めがとても重要になります。
特に、「志望校のレベルに合わせた指導ができるか」は事前に確認しておくと安心です。
選択肢③:科目専門塾(専門講師による外部フォロー)
そして近年、とても増えているのが 科目別の専門塾 です。
算数だけ、国語だけ、理科だけと、特定科目に特化して指導する小規模塾で、“もう一歩深く理解したい”“弱点を確実に立て直したい” という家庭が選ぶケースが増えています。
最大の特徴は、大手塾で長年教えていたプロ講師が独立していること。
だからこそ、
● カリキュラムの流れ
● 各塾のテキストの特徴
● 公開テスト・模試の作り方
● 志望校別の出題傾向
といった中学受験を肌感で熟知されており、子どもがどこでつまずくのかを、驚くほど早く見抜くことができます。
「なぜこの子はここで止まってしまうのか」
その“本当の理由”をつかむ力が非常に高いのが、専門塾の一番の強みです。
科目専門塾のメリット
● 指導の専門性が非常に高い
プロ講師は、解法だけでなく 思考の流れ を教えてくれます。
「この問題が解けない本当の理由」を言語化し、子どもが理解しやすい形に落とし込んでくれるので、土台から整いやすい。
● 短期間で力が伸びるケースもある
専門塾は“思考の型”をつくるのがとても上手。
その型が入ると、応用問題や見たことのない問題にも対応しやすくなり、短期間でも確かな変化が見えることがあります。
● メイン塾との相乗効果が出やすい
大手塾の教材・進度・テストの癖を理解している講師が多いため、“今、何を強化すべきか” を正確に示してくれます。
塾の授業がより理解しやすくなり、テストへの不安が減ります。
科目専門塾のデメリット
● 負荷が高くなることがある
授業のレベルが高い場合もあり、子どもによっては「難しかった」「今日は疲れた」となる日も。
ただ、慣れてくると「わかった!」が増えていき、表情が明るくなる子も多いです。
● 通塾日が増えるため、スケジュール管理が必要
専門塾を追加するとスケジュールはどうしてもタイトになります。
家庭学習のバランスや、子どもの体力との兼ね合いを見ながら決めることが大切です。
● 人気講師はすぐ満席になる
口コミで広がりやすく、特に6年生に入ると予約が取りにくくなったり満席ということも。
気になる講師がいれば、早めに相談しておくと安心です。
専門塾は、合う子には本当に大きな力になる一方で、“すべての子に必要” なわけではありません。
ただ、
弱点を短期間で立て直したいとき
科目の理解をグッと深めたいとき
には、とても心強い選択肢になります。


わが家の体験談
4年生夏、図形特訓で大手の個別指導へ
4年生の夏、わが家では少し苦手意識のあった図形を「得意分野」に育てようと決めていました。
図形は中学入試で必ず出題されますし、5年生・6年生と進むにつれて難易度が上がる重要分野。
早いうちに土台を固めたいという思いがありました。
個別指導に決めたのは、“横について、どこでつまずくのか丁寧に見てほしい”と思ったからでした。
しかし、初回授業から娘は少し戸惑って帰ってきました。
先生、解説に時間かかる。問題が全然進まなかった
次の授業では、
宿題見せたら“どうやって解いた?”って聞かれた。
教室長にも“予習してこないと”って言われた。
入塾時には、中学受験予定であること、そしてお願いしたいレベルが浜学園・最高レベル特訓(4年算数)であることをしっかり伝えていました。
大学生講師に責任があるわけではありません。
ただ、このレベルを教えるには、ある程度の指導経験や“中受の思考の流れ”を理解していることが必要だったのだと思います。
教室の雰囲気も先生方も優しく、娘は楽しく通っていましたが、
この経験を通して「中学受験では、指導者の“専門性”が本当に大切」ということを痛感しました。
5年生冬、国語の急落で国語専門塾へ
5年生冬までは、国語の偏差値はだいたい 62〜69 の間で安定していました。
ところが1月〜3月にかけて、54〜58へと急落。
1回だけなら気にしなかったかもしれませんが、
3ヶ月連続となると「これは何か原因がある」と感じざるを得ませんでした。
原因を探っていくと、
・テストの文章量が増え、内容もレベルアップしている
・設問の抽象度も上がっている
・印をつけているものの、それが読解に結びついていない
という状況が見えてきました。
読むスピードは間に合っているのに、内容の理解が追いついていない。
「国語だけ個別指導を入れるべき?過去問の添削もしてほしいけれど、誰に頼むのが良いのだろう…」
と迷っていたとき、国語専門塾の先生をご紹介いただきました。
体験授業のあと、先生からはこう言われました。
「国語(の成績)が安定するまでは半年は様子を見てください」
受験まで時間がない中での“半年”という言葉に、不安もありました。
それでも娘には先生の授業がとても分かりやすかったようで、毎回の授業を本当に楽しみにしていました。
そのおかげで、成績は夏以降ゆるやかに安定し始め、最終的には 偏差値67〜70 まで上昇。
入試では 国語を武器にできるレベル にまで伸びました。
さらに大きかったのは、先生から教わった読み方・考え方を算数や理科にも応用できたこと。
国語の改善が、その他の科目の安定にもつながっていきました。
6年生の1年間は、体力的にも精神的にも本当に大変でしたが、娘にとってこの専門塾は“心の支え”のような存在でした。
「今日の授業、めっちゃ楽しみ!」
と自分から言ってくれる日が増え、それが日々のモチベーションにも。
通塾と専門塾の両立はハードでしたが、“苦手科目ほど、専門家に任せると伸びる”ということを実感した出来事でした。
いつ、どう選べばいい?3つの視点
わが家の経験から、フォローアップを選ぶときに大切だと感じたのは、次の3つの視点でした。
どの方法が正解というわけではなく、お子さんにとって“無理なく力が伸びる環境” を選ぶための参考として読んでいただければと思います。
① 子どもの理解スタイルに合うか
どれだけ評判が良い先生でも、子どもの理解のしかたと合っていないと伸びにくいものです。
逆に、教え方や声のかけ方がぴったりハマると、短期間でグッと自信が戻ることもあります。
また、フォローアップは「やったらすぐ結果が出る」というものではなく、とくに国語や算数の応用力は、効果が見えるまで数ヶ月かかることも珍しくありません。
そのため、
● 6年生の秋には完成レベルにしたい
● 過去問対応に耐えられる力をつけたい
と思うなら、6年生の2月には始めておきたいところです。
わが家も同じようなタイミングで動きましたが、「もし合わなかったときのことを考えると、もう少し早く始めても良かったかも」と感じる場面もありました。
フォローアップを検討するなら、どこに頼むのかも含めて5年生の夏休み明け〜秋頃 がひとつの目安になると思います。
② フォローの目的が明確か
フォローアップは「何を目的にするか」で選ぶサービスが大きく変わります。
● 弱点補強が目的なら、理解の浅い単元を丁寧に戻れる講師
● 志望校対策なら、出題傾向に詳しい専門講師
● 学習ペースを整えたいなら、個別指導や家庭教師
目的がぼやけたままだと、「期待したほど効果がない…」と感じやすくなってしまいます。
一度、「なにを改善したいのか」を親子で話し合ってみると、選択肢がぐっと絞りやすくなります。
③ 家庭の生活リズムにのるか
どれだけ良いサポートでも、生活リズムに無理が出てしまうと続きません。
フォローを追加したことで睡眠時間が減ったり、宿題が回らなくなったりすると、逆効果になってしまうこともあります。
何より大切なのは、メインの塾を中心に据えること。
そのうえで、
「このフォローなら無理なく続けられそう」
「子どもが負担なく取り組めそう」
と感じられる方法を選ぶことが、長い受験期間ではとても大切です。
最後に
フォローアップは、受験直前の子どもを追い立てるためのものではありません。
つまずきそうなときに、
「大丈夫、ここからまた進めるよ」
と子どもが感じられるよう、そっと手を添えてあげるためのものだと思っています。
家庭教師、個別指導、専門塾。
どれが正解というわけではなく、
大切なのは お子さんが落ち着いて、本番を迎えられること。
そのために必要なサポートが家庭によって違うだけです。
ここまでフォローアップについていろいろ書きましたが、もちろんメインの塾だけでしっかり力を伸ばしていけるお子さんもたくさんいますし、
「必ず外部フォローが必要」という話ではありません。
わが家の経験も、数ある選択肢のひとつとして読んでいただければ十分です。
お子さんに合う形で、安心して進んでいける環境が見つかりますように。