親のサポート・生活

中学受験合格は「終わりの始まり」⁉ 招集日の塾チラシに、白目を剥いた日

中学受験という長い道のりを走り抜け、合格通知を手に「これでようやく、親子でのんびりできる!」と一息ついたのも、ほんのつかの間のこと。進学先の学校説明会で待ち受けていたのは、そんな安堵感も吹き飛んでしまうような「現実」でした。

今回は、多くの難関校ママが直面する「合格直後の塾選びパニック」と、私の夫が放った妙に納得感のある一言、そして私たちがこれから6年間をどう歩んでいくべきかについて、等身大の気持ちをお話しします。

合格者招集日の校門は「第2の戦場の入り口」だった?

冷たい空気の中、憧れの学校の制服採寸日。
わくわくした気持ちで合格者が集う学校へ向かった私の目に飛び込んできたのは、
お祝いの言葉とそれを大きく上回るサイズで書かれた、
「合格おめでとう!次は東大! by鉄緑会」
という強烈なキャッチコピーのチラシでした。

「え、まだ入学式すらしてないのに?」 「中学に入ってもいないのに、もう6年後の大学受験の話?」

正直、頭がクラっとして白目を剥きそうになりました。娘の進学先が決まるまでは、合格することだけを祈り、偏差値に一喜一憂し、プリントの山と戦う毎日。その先の「大学受験」なんて、まだずっと先の話だと思っていたんです。大学受験のための塾も高校生になってからでいいかなとも思っていました。

ところが、現実は予想以上にスピーディー。校門前で配られるチラシは、中学受験という全力疾走が終わった瞬間に、すでに次のマラソン(しかも超ハイスピードなやつ)のスタートが切られていることを告げているようでした。

ママ友LINEで知る「鉄緑会」の圧倒的なスピード感

入学後の塾をどうしようか考えている間にも、スマホの通知が増えていきます。 「もう入塾テスト申し込んだ?」「何曜日のクラスにする?」 塾時代のママ友たちからの連絡です。

話を聞くと、鉄緑会(指定校制度または入塾テストがある東大受験専門塾)は、とにかく「早ければ早いほどいい」のが常識なのだとか。

  • 記憶が新しいうちに: 入試直後の「勉強の貯金」があるうちにテストを受けられる。
  • 曜日の優先権: 合格した人から順に、通塾の曜日を希望できる。

早いご家庭だと、中学入試前には鉄緑会の入塾テストの申し込みを完了させ、入試が終わったその週末には学力テストを受けているというから驚きです。部活は何に入ろうかな、なんてのんきに考えている間に、すでに「通塾の曜日確保」という名前の席取り合戦が始まっていました。

我が家はというと、本命校の合否をしっかり見届けてから申し込んだので、テストを受けられるのはなんと2週間以上先。この「出遅れた感じ」すら、受験期のピリピリした感覚を思い出させて、少し気が重くなりました。

旦那さんが笑って言った「これぞ、終わりの始まりだね」

そんな、ちょっとどんよりした気分の私を見て、旦那さんがニヤリと笑いながらこう言ったんです。

これは『終わりの始まり』なんだよ(笑)

私の落ち込みぶりを茶化すような、いかにも旦那さんらしい一言。でも、その言葉が妙にストンと胸に落ちてしまいました。

中学受験という、親が必死にスケジュールを管理し、プリントを整理し、お弁当を作り続けた「二人三脚の日々」は確かに終わった。けれど、それは同時に、新たな競争のルートに(本人の意思とは関係なく)組み込まれていく「始まり」でもあったわけです。

「また、あの順位表を気にする日々が始まるの……?」
「せっかく浜学園で必死に泳ぎ切ったのに、また別のプールのスタート台に立たされるの?」

旦那さんの言葉は、私の「燃え尽き感」と「これからの不安」を、冗談めかしつつも的確に言い当てていました。

入塾テストの結果と、突きつけられた「仕組み」

2週間待って受けた入塾テスト。娘の感想は「算数はそこまで難しくなかったかも」という、意外とあっさりしたものでした。中学受験で難しい問題を解き続けてきた子どもたちにとって、基礎的な力はすでにしっかり身についているのかもしれません。

結果は無事合格。「Aクラス(関西上位クラス)」からのスタートでした。

後の説明会で聞いたところ、やはりこの時期にテストを受けるのは、かなり意識の高いご家庭の子どもたちばかり。春期講習で集まったメンバーも志望校別特訓で一緒だった子や、浜学園の「10傑(成績上位10名)」にいつも名前が載っていたような有名人たちの名前がチラホラいたようです。
その光景を見て、私はある種の驚きを感じました。

「これって……中学受験は、実は鉄緑会に入るための『選別試験』だったんじゃないの?」

そんな風に思えてしまうほど。難関校に合格したという実績が、そのまま「次のハイレベル塾へのチケット」になり、また同じメンバーで、同じような競争を繰り返していく。 この完成されすぎた仕組みを前にして、「え?またこれが始まるの?」と、クラクラするような感覚になったのは私だけではないはずです。

あえて「王道」を選ばないという選択もある

でも、この流れに疑問を持って、あえて違う道を選ぶ方たちもいます。

ある保護者さんのお話がとても印象的でした。お子さんは超難関の灘中に合格。当然、周りは鉄緑会へなだれ込む中、そのご家庭が選んだのは、全く別のアットホームな塾でした。

理由はとてもシンプル。 「もう、塾の順位をチェックして、成績を気にする毎日はお腹いっぱい。中学からは、本人が自分のペースで勉強を楽しんでほしいから」

その言葉を聞いたとき、私は少しだけ心が軽くなった気がしました。「鉄緑会に入らなければ、この学校に入った意味がない」なんて思い込みそうになっていたけれど、どこに通うか(あるいは通わないか)を決めるハンドルは、まだ親と本人が持っているんですよね。

3月の「春季講習」に込めた、現実的な事情

結局、我が家はどうしたかというと……。 3月は私の仕事がものすごく忙しく、お出かけにあまり連れて行ってあげられない(2月にご褒美旅行は完了)という事情もあり、「学習のリズムを崩さないため」という名目で春季講習を申し込みました。

「また勉強させるの?」という罪悪感がないわけではありません。 でも、浜学園で必死に戦い抜いてきた娘にとって、急に「やることが何もない状態」になるのも少し怖かったんです。彼女にとっても塾は、もう生活の一部。同じレベルの仲間と切磋琢磨することが、彼女なりの「日常」になっているのかもしれません。

春期講習も顔なじみのメンバーで楽しく通っていました。

これからの6年間を「苦行」にしないために

旦那さんの言う「終わりの始まり」という言葉。 これを、「苦しみの始まり」にするのか、それとも「親のサポートが少しずつ終わっていく始まり」にするのか。それは、これからの親のスタンス次第なのだと思います。

今回の入塾を通して、私自身が心に決めた「新生活のルール」は3つです。

新生活のルール

  1. 塾の結果を「親の成績」だと思わない
    上位クラススタートは素晴らしいけれど、それは娘が今まで頑張った結果。この先はクラスが落ちても、順位が下がっても、それは娘が自分で考えて解決していくことであって、私が一喜一憂するステージはもう卒業と考える。
  2. 「鉄緑会がすべて」という思い込みを捨てる
    もし本人が「学校生活と両立できない」「しんどい」と言い出したら、いつでもやめていい。塾はあくまで「道具」であって、目的ではないことを忘れないようにする。
  3. 「何もしない時間」を大事にする
    中学受験では、睡眠や遊びの時間を削ってきました。でも、これからの6年間は心が大きく成長する時期。クラブが忙しかったり、塾の宿題でパンクしそうなら、親が真っ先に「今日はもう寝なよ」と言える余裕を持つ。

    最後に:受験を終えたばかりの同志の皆さんへ

    説明会でのチラシにびっくりし、ママ友のスピード感に焦り、「終わりの始まり」にちょっと絶望しかけている皆さん。 大丈夫です。私たちはもう、あの過酷な受験期を乗り越えたんです。

    中学受験という「親子で必死に走る時期」は、ここで一旦おしまい。 これから始まるのは、「子どもが自分の足で、どんな道を歩むかを見守る」という、新しい段階です。

    「また塾……?」と暗い気持ちになったら、ぜひうちの旦那さんのように笑い飛ばしてみてください。「おっ、第2ラウンドが始まったね!」くらいの図太さが、これから思春期を迎える子どもたちを支える、一番のパワーになるはずですから。

    我が家も「中学受験編が終わったら、次は『激闘!鉄緑編だな!!』」と笑い飛ばしています。

    さあ、皆さんの「終わりの始まり」には、どんな景色が広がっていますか?

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